「点と線」と言えば、松本清張の代表作の一つだが、そういやあまりまともに読んだことなかったな、とブックオフの棚で見かけたときに思い出した。
何しろ古い本で、時刻表トリックなんだけど、基本的に人々は日本国内を鉄道で移動する、とみんなが思っているという前提で書かれているので、容疑者が短時間で九州から北海道まで移動するのはほぼ不可能と言われても、「あー、鉄道だと難しいんだろうが、飛行機なら一瞬だけど、それは考えないことになっているのだろうな」などと思って読んでいると、あーそうきたかーそれありですかねーという展開になってしまっている。
こういうのはやはりなんとか読むときの気持ちを昭和30年代の人間の気持ちに近づけて読まないといまひとつ納得がいかない読後感で終わってしまう。
今となっては西村京太郎の時刻表トリックもいろいろ古くなっているとは思うんだけど、点と線ほどの違和感はないんだろうなとは思う。