今日の蘊蓄: 雛人形男雛と女雛の並び

先日、ラジオ番組「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」を聴いていて、思わず手を止めてしまう話題がありました。

ひな人形の並び方は、関東と関西で違う——。

しかもその違いは、単なる地域差ではなく、明治維新や西洋化、さらには天皇の婚礼儀式にまで関係しているというのです。

「右がお内裏様? それとも左?」

子どもの頃から当たり前に見てきた雛飾りに、そんな歴史的背景があるとは考えたこともありませんでした。

調べてみると、そこには京都の古式礼法と、近代国家として歩み始めた日本の象徴的な変化が重なっていました。ひな祭りという穏やかな年中行事の中に、日本の伝統と近代化の物語が隠れていたのです。

今回は、関東と関西で異なるひな人形の並びについて、その由来を少し掘り下げてみたいと思います。

続きを読む今日の蘊蓄: 雛人形男雛と女雛の並び

「十五で姐やは嫁に行き」──童謡『赤とんぼ』に隠されたもうひとつの物語

十五で姐やは 嫁に行き
お里の便りも 絶えはてた

童謡『赤とんぼ』の三番。この二行には、何とも言えない寂しさが漂います。
「十五で嫁に行った」とは、誰のことを指しているのか?
単純な子守娘の別れと読むだけでは、どうも深すぎる余韻が残ります。

続きを読む「十五で姐やは嫁に行き」──童謡『赤とんぼ』に隠されたもうひとつの物語

映画「ドリーム」 ― コンピュータがまだ人間だった頃

映画『ドリーム(Hidden Figures)』を見た。

もともと実話に基づいた作品が好きだが、この映画は特に印象に残った。華やかな宇宙開発の裏側で、ロケットの軌道を“手計算”していた黒人女性たちの物語。彼女たちはNASAの一員でありながら、当時は「colored computers(有色人種の計算手)」と呼ばれていた。

このエントリのタイトルにある“コンピュータ”とは、機械ではなく、人間そのもののことだったのだ。

続きを読む映画「ドリーム」 ― コンピュータがまだ人間だった頃

映画「フィガロに恋して」──ただのラブコメじゃない?

先日観た映画「フィガロに恋して(原題:Falling for Figaro)」。

表向きは“キャリアを投げ打って夢を追う女性と恋の行方”という軽快なラブコメですが、実際に観てみると、ただの恋愛映画ではありませんでした。

なぜならこの作品、随所に流れるオペラの名曲が物語を動かしているのです。

マックスが歌う「フィガロ」は本当に《フィガロの結婚》なのか? ラストで選ばれた《ドン・ジョバンニ》の二重唱にはどんな意味があるのか?

──この選曲をたどると、実は映画の裏に“オペラ史の縮図”が隠れていました。

ここから先は、フィガロ三部作やモーツァルトのダ・ポンテ三部作と絡めて、この映画をもう少し深く見ていきます。

続きを読む映画「フィガロに恋して」──ただのラブコメじゃない?